上司と私の偽恋愛 ※番外編追加しました※


斜め前に座っている恵菜ちゃんは、少し間を空けて一度深呼吸をしてからいつもの調子で話し始めた。


「私、人の恋愛をネタにするほど性格悪くありませんよ! それに私藤井先輩のことすごく尊敬してるんです! 大好きな先輩の立場を悪くするようなことするわけないじゃないですか!」


「な、だから恵菜は大丈夫なんだって」

恵菜ちゃんの言葉に桐生が付け足す。

恵菜ちゃんが私をそんな風に思っていてくれたなんて知らなかった。
胸のあたりがジーンと温かくなっていくのがわかる。



結局、恵菜ちゃんにも桐生に話した内容を話し私と結城課長が付き合っていることを伝えた。



「私、最初は藤井先輩が告白して一方的に好きなだけなんだと思ってたんです。 ほら、結城課長ってそういうとこドライな感じするじゃないですか? 恋愛とか興味なさそうな」


恵菜ちゃんの言ってることよくわかる。
容姿端麗で仕事ができれば当たり前に目立つ。そんな人と、いたって取り柄のない平凡な私が付き合ってると知れたら世間は私の一方的な片思いと思うだろう。
現実それに近いのかもしれない。


だけど恵菜ちゃんはそのあと意外な事を口にした。


「でも違ったんですね。 どちらかといえば結城課長が藤井先輩に夢中なんだって見てたらすぐわかりました!」



「へえ〜、 どうしてわかったの?」

テーブルに頬杖しながら雅がすかさず聞きに入る。
たしかに、それはない。
恵菜ちゃんが言い切る理由が何なのか聞いてみたい。


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