上司と私の偽恋愛 ※番外編追加しました※
去年のバーベキュー大会から結城課長とは付き合ってもうすぐ半年になる。
お互い仕事に影響が出るといけないから社内では付き合うことを内緒にしようとどちらともなく意見が一致した。
2年前、29歳という若さで課長となった彼は社内でも異例のスピード出世だった。
仕事が早くて相手先の受けもよく、おまけにセンスがいいとくれば昇進も当然だったのだろう。
その分、さっき恵菜ちゃんが結城課長を3日振りに見たと言っていた通り彼はとても忙しい。
出張もたまにあるみたいだし私は私で残業があるから付き合ってると言っても2人きりで会ったりするなんて数えるくらいしかない。
でも会えないことが不安とか彼に不満があるとか、そういった感情は私にはない。
もともと付き合おうなんてはっきりした言葉はなくてなんとなくから始まった私達。
それに恵菜ちゃんの言うとおり結城課長はいわゆるイケメンだ。
細身で背が高く全体的にほどよく筋肉がついていて以外とがっちりしている。
あんなに忙しいのにいつ鍛えてるんだ?ってくらい。
背が高いからなのか?
もしくはイケメンだから?
それとも両方だから?
彼と付き合ってとりあえずわかったことは、あらためて結城課長という人物はモテるという事だった。
相手なんて選びたい放題なのに。
あの時、結城課長がどうして私を選んだのかなんて知らない。
ただ彼の秘密を私は知っている……。
もちろん私が知っていることを彼は知らない。
それに……。
彼は私の秘密を知らない…………。
だってこの関係はいつか終わるものだし。
私は決まらないデザインを前にカチカチとパソコンのキーボードを意味もなく何度も押しながらそんな事を思っていた。