上司と私の偽恋愛 ※番外編追加しました※
今の家族や大切な人たちを本気で好きになって、ある日突然目の前からいなくなったら私は普通でいられる自信がない……。
もうあんな辛い思いはしたくない。
…………恋なんてしない方がいいのかもしれない。
「私、一生結婚できないかもね」
自虐的に笑ってみせた私に雅は首を横に振ってニコッと笑って見せた。
「そんなの私が許さない! 亜子はステキで優しい紳士と結婚する予定なの!」
雅の言葉に思わず吹き出してしまった私。
それに釣られて言った本人も笑う始末で私たちはしばらく笑い続けてた。
笑いすぎて私の目には薄っすらと涙が出ていた。
雅にたくさん元気をもらったおかげで午後からは仕事に集中できて少しの残業で終わることができた。
雅はというと週末という事もあって彼とデートの為に定時であがっていったので私はパソコンの電源を落として1人帰る支度をしてオフィスを出た。
エレベーターで1階まで降りてエントランスを抜けてビルを出ると外は雨が降っていてほんの少し離れた屋根のあるところに結城課長と矢野さんが立ち止まって話をしていた。
わかってはいたけどあらためて目の前で見るにはまだ気持ちの整理がつかない。
矢野さんは背の高い結城課長を見上げてニッコリと微笑んでいて結城課長もまた矢野さんを見つめている。
なんて優しい目で見るんだろう。
結城課長の姿を見て胸がズキンと痛んだ。