上司と私の偽恋愛 ※番外編追加しました※
だからたまには部屋に来てくれた方が私としてはいいんだけどね。
私たちはお寿司を美味しくいただいた後佐山さんの運転で私のマンションまで送ってもらった。
「ねぇ、 ちょっと寄ってかない? お茶くらいならすぐ出せるよ」
涼太を部屋に入れようとダメ元で言ってみたら予想と違う言葉が返ってきた。
「あのなぁ、俺の知らない男が入ってるかももしれないような部屋に入れるかっての!」
「はぁ? な、何言ってるの?」
「あ、その気持ち私もわかります。 あの亜子さんに男物の形跡とか、社長見たらショックで寝込んじゃいますよ」
佐山さんが可笑しそうに笑ってる。
私って一体どう見られてるわけ?
「佐山黙れ。 兄としては妹のそういうところは見たくないもんだ。 どうせ会社を出て来た時の事もそれ絡みだろう?」
やっぱり涼太には隠し事はできないなぁ。
車を降りて振り向くと車内から涼太は一言付け加えた。
「まぁ、色々あるだろうけど紹介できるようになったら1番初めに俺に言えよ! でないとオヤジが倒れるだろ」
ニヤッと意地悪そうに笑う涼太と、笑いたいのを耐えながら肩を震わせて運転席に戻る佐山さんを私は納得いかない顔をして見送った。
部屋に入ってリビングの電気をつけ浴室へ足を運ぶ。
今日はゆっくりお湯に浸かりたくて浴槽にお湯をはる準備をする。
お風呂だって洗面所だって私の物ばかり。
男物の形跡なんてどこにあるっていうの?
涼太も家賃の半分を払ってるんだから共同の部屋みたいなものじゃない。そんなところに
男をあげることできるわけないのに。
とりあえず先に明日の準備とお母さんの誕生日プレゼントをキャリーケースに詰めてリビングの入り口に置いてから、ゆっくりとお湯に浸かって疲れを癒した。
涼太や佐山さんとあったせいかその日の夜はひさしぶりに深い眠りに就くことができた。