上司と私の偽恋愛 ※番外編追加しました※

お昼休みになると奥のほうから私を呼ぶ声が聞こえる。

「あーこ、ランチ行こ!」


同期の長谷川 雅(はせがわ みやび)が呼びにくる。
雅とは新人研修の飲み会で意気投合して以来私にとって唯一気の許せる1人である。
お互い部署は一緒だがチームが違う為、仕事中はほとんど話す機会がない。
なので仲のいい桐生も入れて月一で飲みに行ってる。


「亜子行きたいとこある? なければこの間オープンしたパスタ屋行かない?」


さりげなく私の気持ちを考慮してくれる雅の優しさが好き。


「いいよ! 私も行きたいと思ってたんだ!」


私達は財布と携帯を持ってオープンしたばかりのパスタ屋さんに向かった。


混み合う寸前に入ることができたパスタ屋さんはテーブルやイスが濃いブラウンで統一されていて、壁には同色のブラウンにところどころモスグリーンの配色が入っていてなんとも落ちつく雰囲気がいい感じ!


雅はカルボナーラ、私はきのこの和風パスタのランチセットを頼んでお互いのパスタを分け合いながら会話は進む。


「そういえば今日結城課長出勤してたよ!」


私はセットに付いてきたサラダを食べながら
“ 知ってる ” というような相槌をうった。

知ってるといっても恵菜ちゃん情報なんだけどね。



雅は私と結城課長の関係を知っている唯一の存在。
はじめは気が合う同期仲間ってだけだったけど、優しくてちょっと世話焼き。
私のことを親身になって本気で心配してくれる彼女と接しているうちになんでも話せる親友となっていた。

だから雅には全部話してる。



「今日の夜はデート?」

対面に座る彼女はニヤニヤ笑いながら軽く首を傾ける。


「何も。仕事終わったら帰る予定だけど」

嘘は付いてない。

もともと連絡先は知ってるけれどお互いマメなタイプでもないからよっぽどの事がない限り連絡することはない。


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