上司と私の偽恋愛 ※番外編追加しました※
翌朝、キャリーケースを手にいつもより早めの時間にオフィスに入る。
今日は休みという事もあってそれほど人は出ていないけど、それでも休み返上で休日出勤してくる人も少なくはない。
パソコンの電源を入れて昨日のトラブルがあったホームページへのアクセスを一つ一つ確認していると背後から「おはよ」と声が聞こえてきた。
「あ、おはよう! 桐生仕事?」
桐生は社員がいないことをいいことに大きな欠伸をしながら怠そうに話しかけてくる。
「午前だけな。 今日やらないと来週苦しくなりそうだから。 藤井は?」
「私は昨日のトラブルで修正できてるか担当者と確認するだけ」
「ふ〜ん」
ちょっと、いくら人がいないって言ってもやる気なさすぎじゃないの?
まぁ、本当はお休みだしね、しかたないのかな。
私は修正の確認をした後、相手先の担当者に電話をすると今席を外せないとのことでもうしばらく待つことにした。
もう少しかかりそうと涼太にラインを入れようと携帯を打っていると桐生が話しかけてきた。
「藤井さぁ、あれからどうなってんの?」
私はラインを打ち終わり携帯から視線を桐生に移して「何も」と一言言った。
私の言った言葉に桐生は少しも表情を変えず呆れた顔をしてただ私を見ている。
「 ちゃんと話し合わなきゃいけないってわかってる。 でも今は無理……」
本当は違う。
このまま自然消滅でもいいと思ってる自分がいる……。