上司と私の偽恋愛 ※番外編追加しました※

なかでも1番嫌だったのは “ 藤井さんてお嬢様なんだって ” という噂。
たしかに藤井家は裕福な方かもしれないけれど、養子である私としてはそんな風に言われるとどう対応していいのかわからなかったのだ。

それに涼太は昔から良い車に乗っているかもしれないけれどそれは涼太が頑張っているからであって私とは関係ないのに人は勝手な事を言う。


「もう今度会社の前に来たら怒るからね!」

怒っている私に涼太は「わかったよ」と一言言った後意味深な事を口にした。


「亜子には怒られたけど、まぁいいもの見れたし良しとしよう」

「え? いいものって何?」


不思議に思って聞いてみると涼太はニヤリと笑みを浮かべた。

「亜子が車に乗る時入り口にいた男だろ? あいつに泣かされたのか?」


「え? 何? 意味がわからないんだけど?」

涼太が何を言ってるのかわからなくてもう一度聞いてみた。

「会社の入り口のとこでじっとこっち睨んでた奴がいたぞ。 そいつが亜子の男なんじゃないのか?」


え?結城課長が?
ううん、それはないはず!
だって車に乗る時周りを見たけど誰もいなかったもん!


「深く聞くつもりはないが1人で悩むなよ。 悩みならいくらでも聞いてやる」


「……うん」


こうやって涼太はいつも私の心を軽くしてくれる。


「ありがとう」


東京に帰ったらちゃんと結城課長と話そう。
いつまでもこのままなのはやっぱり嫌だ。


だけどこの時は本当に結城課長が見ていたなんて思いもよらなくて私は自分の事しか考えられなかった。


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