上司と私の偽恋愛 ※番外編追加しました※
「そういえばこのケーキ、 沙知ちゃん家のケーキなのよ。 ここのケーキ好きだったでしょ」
「嬉しい! ありがとう」
沙知ちゃんとは小学生の頃から仲良しでいまもたまに連絡をとる友達の1人。
沙知ちゃんの家はケーキ屋さんで私は沙知ちゃんのお父さんが作るケーキが大好きだった。
「ちなみにそのケーキは沙知ちゃんが作ったんだって」
沙知ちゃんは家を継ぐ為にパティシエとして専門学校を出たあとしばらく東京の有名店で働いていた。
その頃はお互い東京にいたのでよく会ったりしていたけど沙知ちゃんが地元に帰ってからはラインでたまに連絡し合うくらいだったからこんなに素敵なケーキが作れるほどになっていたとは知らなかった。
「すごい綺麗」
ドーム型に作られてる苺のショートケーキはある意味芸術的な作品のよう。
クリームの層があまりにもきれいで食べるのが勿体ないけど手前をすくって口に運ぶと、甘すぎないクリームはとても濃厚で苺の酸味と絶妙なバランスをとっている。
「 亜子に会いたがってたわ! あとで涼太に連れてってもらうといいわ。 沙知ちゃんが戻ってきてから種類が増えてね、焼き菓子なんかも美味しいわよ!」
「うん! 私も沙知ちゃんに会いたいな」
なんだかんだでもう1年以上会ってない。
「なら、明日帰る前に寄ってやるよ。 どうせ俺は亜子の運転手だろ?」
涼太はわざとふて腐れた顔をして言うとお父さんまで会話に入ってくる。
「涼太が嫌ならお父さんでもいいぞ! 亜子、明日はお父さんが連れてってやろう」
「オヤジは明日ゴルフだろ! いまからボケられても困るんだけど」
「そうよ! まだボケるには早いわよ」