上司と私の偽恋愛 ※番外編追加しました※
お父さんが何か言うとすかさずお母さんと涼太が突っ込んで、その横で私は漫才のようなやり取りを見て笑っている。
ここに来るまで悩んでいたのが嘘みたいにいつもと変わらない雰囲気を作ってくれる家族に私は心の中で感謝した。
「そろそろ出かける準備でもしようか。 亜子、支度があるならしておいで」
お父さんの一言でそれぞれこのあとの支度に入る。
私は2階の部屋に荷物を持って移動する。
階段を登って1番奥の部屋が私の部屋。
ドアノブを引いて入るとそこは高校生当時のままで掃除もしてくれているのか埃もない。
このあとお母さんの誕生日のお祝いにみんなで夕食を食べに行く事になっている。
今回はホテルのディナーということで少しオシャレして出かけることになっていた。
私は用意してきたネイビーのワンピースを着て胸まで伸びてる髪を緩く纏めて実家用に置いてあるアイロンで後れ毛を軽くクセづけした。
キャリーケースに入れてきたお母さんのプレゼントと一通の淡いピンク色の封筒を取り出して持ってきたショルダーバッグに入れ替える。
この間結城課長のご両親とランチをした時マナーを褒めていたと言われて無性にお母さんに伝えたくなった。
お嫁に行くわけじゃないけどここまで育ててもらったお礼を言いたい。
でも面と向かって言うには照れくさいから手紙を書いて渡すことにしたのだ。
「亜子、タクシー来たけど準備いいか?」
ドアのノックと共に涼太が声を掛けてきた。
私はドアを開けて涼太と玄関へ向かいタクシーへ乗り込んだ。