上司と私の偽恋愛 ※番外編追加しました※
2人が出て行ったあと個室から出て鏡の前に立った。
可哀想…………。
私はショルダーバッグの中からお母さんの誕生日プレゼントが入っている箱と封筒を手に取った。
可哀想?
ううん、私は幸せだと思う。
周りが何て言おうが私は今幸せなんだから!
プレゼントの箱と封筒をバックの中に入れて鏡に映る自分に「よしっ!」と一言気合を入れ家族が待ってる場所へ戻った。
レストルームから出ると先ほどの場所で家族がいつもの笑顔で私を待っていてくれた。
「遅いぞ! どんだけ待たせるんだよ」
「ごめんごめん、 お待たせ!」
突っ込む涼太に両手を重ねた私はニッと歯を見せておどけて見せた。
予定の時刻にレストランに入り席に着くと食前酒とアミューズが運ばれてくる。
「じゃあ、まずは家族揃ってのひさしぶりの外食に乾杯かな」
お父さんがそう言うと食前酒の入った小さなグラスを持って4人で乾杯をした。
グラスを置くとソムリエがやって来てワインを用意してくれる。
ワインはお父さんがこの日の為に前もって選んでおいたそうで、お母さんの好きな赤ワインがグラスに注がれる。
「お母さん、誕生日おめでとう!」
みんなで声を合わせてグラスを軽くあげワインを口に含む。
ライトボディでお酒の弱い私にはフルーティーで飲みやすい。
私たちは順番にお母さんへプレゼントを渡す。
お父さんは毎年同じ101本の真っ赤な薔薇の花束。
101本には最高に愛していると言う意味が込められていて、30年以上一緒にいるのに毎年愛の告白を受けているお母さんは幸せだと思う。