上司と私の偽恋愛 ※番外編追加しました※
「涼太、駅に行く前に沙知ちゃんのお店に寄っていい?」
「そうだったな。時間も余裕あるし行くか」
駅に向かう途中、道路沿いにある小さなケーキ屋さんが沙知ちゃんのお店。
レンガ造りの建物はすごく可愛くて、まるでおとぎ話に出てきたお店のよう。
地方は都会よりも車社会の為お店よりも駐車場が広い所が多い。
東京と違って一々駐車場を探す必要がないのが良いところかな。
駐車スペースに止めて涼太と一緒にお店に入る。
お昼過ぎだからかいつもより空いていて入りやすい。
「亜子ちゃん!」
「沙知ちゃんひさしぶり! 」
お店入ると彼女は私を見つけて駆け寄ってきてくれた。
私が話をする前に大きな猫目でショートボブが似合う沙知ちゃんはお店中に聞こえる声で話しはじめた。
「えーー来るなら言ってよ!」
「ごめんね、今回はお母さんの誕生日で来たから時間なかったんだ。でも沙知ちゃんの顔が見たかったから寄っちゃった」
小、中、高と同じ学校だった沙知ちゃんは学年で常にトップの成績を取っていて、大学もグッと上の所を狙えたけど周りの反対を押し切ってパティシエの道に進んだ。
「お父さんのお店を守りたいの」と言って東京で修行した後何のためらいもなく故郷に帰って行った。
都会と違って地方は人口も少ない中、街でケーキ屋さんを続けていくのは大変なはずなのに頭の良い沙知ちゃんは次々と新しいケーキやお菓子を発案しそれが人気を集めているらしい。
東京へは焼き菓子の方が持ち帰りやすいので私は焼き菓子コーナーの方へ足を運んだ。
今の時期は苺のシーズンでストロベリーチョコでコーティングしたクッキーや、苺の果汁が入っているピンク色のメレンゲクッキーが並んでて見た目も可愛いらしい。