上司と私の偽恋愛 ※番外編追加しました※

「すみません……」

「何食いたい?」

「あ、ご飯ですね。結城課長は何がいいですか?」

もしかしてお腹空いてて機嫌悪い?
涼太も昔お腹空くとすっごく機嫌悪くなってたな。

「俺昼メシ遅かったからそんなに食えない。できれば居酒屋の方が助かる」

「あ、居酒屋いいですね! どこにしますか?」

「いい場所がある」

結城課長はタクシーの運転手さんに場所を説明しながら細かい道を進んで行く。
お腹空いてるわけじゃないんだ。
じゃあ何で機嫌悪いんだろう?


結城課長の顔をチラッと見てみると先程よりはイラついてない気がする。
タクシーは小道に入りスピードを緩める。
あたりは老舗のお店なのか少し古めかしい感じの飲屋街に入った。


「運転手さんここで降ろして」

タクシーから降りると「行くぞ!」と言ってまた私の右手を掴んで歩き始めた。

強引に掴まれた右手は結城課長の体温が伝わってくるようでどんどん熱くなっていくのが分かる。

「こ、この辺なんですか?」

足の長い結城課長の一歩は私の二歩分くらいあって私は時々小走り気味になりながら頑張ってついて行く。


「歩くの早いか? ちょうど着いたよ」

結城課長が連れてきてくれた居酒屋は私が雅や桐生と行くおばちゃんのやってる居酒屋さんと雰囲気が似ていて、それほど広くないスペースだけど小上がりになっていてサラーリマンやOLさんがビールをジョッキでグイグイ飲んでいる。

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