秋に、君に恋をする。
「あ、そういえばテストどうだった?」
「そう、それ。俺テストであんな手応えあったの初めてなんだけど」
「え、そんなに?てかあれしか勉強してないのに手応えあったのが驚きなんだけど…」
「友達にもびびられた。俺天才かもな」
「ひー。キミにうちの学校のテストを受けさせてやりたいよ」
「おー任せろ任せろ」
またもやアキホを肩にのせて、勇太朗が笑いながら歩き出した。
その後ろ姿を見ながら、勇太朗が同じ学校だったらなあ、なんてばかな事を考えた。
「帰んないの?」
立ち止まって、勇太朗が振り返った。
「あ、帰る。帰ります」
私が勇太朗の隣に立つまで彼は待っていてくれて、隣に行くとゆっくり歩きだす。
さっき夢で見た景色と、全く同じだった。
隣の勇太朗を見ると、視線を感じたのか目が合った。
「なんすか」
「なんでもないですよ」
「なんだよ」
「今日もバイト?」
「うん、これから」
「週どれくらいやってるの?」
「週5」
「本当に?すごいね、なんでそんなに」
「お金が欲しいからです」
「ふーん。あ、明日お弁当作ってこうと思うんだけど、いい?」
「いいんじゃないの」
彼には、あの制服は似合わないなあ、なんて考えたら、ちょっと笑えた。
それから家に帰ると、ちょうど祖母も昼寝から起きたところで、午後は、祖母お手製料理のレシピを教えてもらった。
たくさん作ったので、明日のお弁当のおかずにちょうどよかった。