秋に、君に恋をする。
日曜日になって、朝起きて、朝食の手伝いをする。
勇太朗が家の前を通って行くのが見えたから、縁側から「いってらっしゃーい」と大きく手を振ったら、「うっせーよ」と照れられた。
勇太朗が帰ってきたらコスモス祭り。楽しみだなあ。
朝食後、どうせ連絡はないだろうなあと思いながら、暇潰しにiPhoneの電源を入れる。
しかしメッセージが来ていた。
この番号…あ、留守電か。友達からかな。
そのメッセージを開こうとしたら、画面が暗くなった。
「あっ」
電源切れた!
そりゃそうだ、もう何日も充電してないや。東京にいた時を想像したらあり得ない事だ。
充電器充電器…あれ、どこだ?
リュックの奥底まで手をかき回しても、目当ての充電器はない。
キャリーケースの中身も全部出したけど、なかった。
最悪な事に、充電器を忘れてしまった。
乗換案内のアプリを使わないと、帰りの電車もわからない。
携帯ショップは来る時に街の方で見掛けたけど、ここからでは結構距離があったと思う。
「おばあちゃん、この辺りにコンビニある?」
「コンビニ?ああ、勇太朗の高校の近くにあるよ」
「そっか。じゃあ、勇太朗が学校終わる頃行こうかな」
「バスに乗って、高校前っていうバス停で降りたら一本道だからすぐわかるよ」
「ありがとう!」
勇太朗が学校終わるのはお昼ぐらいだから、少し早いけど探索もしたいしもう出ようかな。
「おばあちゃん、ちょっと行ってくるねー」
「気を付けといでー」
外は相変わらずまだ暑くて、ワンピースから出た腕にじりじりと太陽の光が刺さった。