秋に、君に恋をする。



「独りだなんて、もう絶対に思うな。居場所がないなんて絶対に言うな。次言ったら、ここがお前の居場所だって言う俺に超失礼だから、デコピンの刑だ」

「……ゆうたろう」

「なんだよ」

「ひどい事言って、ごめんね」

「あー、もう忘れた」


そう言って勇太朗は、優しく笑った。


コスモス祭りに行こうとしたけれど、祖母の料理を勇太朗と祖母と3人で食べたら少し眠くなって、3人でごろんと横になったら、いつの間にか昼寝をしていた。




 次に目を覚ましたら辺りはもう日が暮れていて、隣で勇太朗はまだぐっすりと気持ちよさそうに眠っていた。

祖母とおばちゃんが、台所で夕飯の支度をしていた。


「あら、あきはちゃん」

「おばちゃん、こんにちは」

「コスモス祭り残念だったわね。起こそうと思ったんだけど、気持ちよさそうに寝てたから」

「うん、コスモス祭りは、いいや」

「せっかくだったのにね。あ、あきはちゃん明日帰るんでしょう?何時?」

「うん、お昼にはここ出るつもり」

「あら、そうなの。また寂しくなっちゃうわねえ」


隣から、トントントンと、祖母の包丁の音が聞こえる。

いつもはもっときれいで、優しく感じるのに、なんだか今日の包丁の音は、少し寂しそうに聞こえた。


茶の間からニュースが聞こえて、振り向いたら勇太朗がぼーっとテレビを見つめていた。

ニュースなんて興味なさそうなのに、ずっとテレビを見ているから、少しおかしくて笑えた。



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