HappyMemory
尚が表札を覗き込んだ。
「和泉<イズミ>さん…かあ」
表札を覗き込む尚はちょっと楽しそう。
近所に引っ越してくる人なんて、すごく久々の出来事だった。
嫉妬を覚えながらも、私は笑顔を貼り付ける。
「仲良く出来るといいわね」
「うん」
そう頷いた尚はまた歩きだした。
私もそれに続く。
別に近所に誰が越してきたとか、全然興味ない。
むしろ邪魔だし。
そんな想いを顔に出さないよう注意しながら、駅への道を歩いた。