突然ですが、兄貴が出来ました!
目を覚ますと、倒れてから丸2日間眠り続けていたらしい。
母さんには滅茶苦茶怒られたし、蒼ちゃんには泣かれるし…。
もう散々な目には遭ったけど、でも眠って目が覚めてから自分の気持ちに覚悟を決めた。
俺は母さんに、桐楠大付に受かったら他は受験しない事を伝えた。
辛いけど、ちゃんと自分の気持ちにケリをつけようと思ったから…。
まぁ…もちろん俺がどんなに頑張った所で特待生になれる筈は無く、一般枠で合格した。
しかも、悔しい事に章三が特待生で合格したのだ。
一般枠だと厳しいな…と諦めていたら、神崎家の祖父母から学費援助の申し出があり、俺は晴れて桐楠大付へと入学を果たしたのだ。
ただ、公立を志望していた章三までもが、何故か桐楠大付に入学してきたのは計算外だったけど…。
入学して知ったのは、蒼ちゃんと翔さんの人気だった。
生徒会長をしている蒼ちゃんは、学校の憧れの存在。そのナイトとなると、やはり翔さんも人気が高く…。気軽に「翔さん」と呼べる人では無くなっていた。俺はいつの間にか翔さんを秋月先輩と呼ぶようになり、距離を保った関係が続いている。
秋月先輩は剣道部の主将をしていて、放課後になると部室から移動する道着を着た秋月先輩が見られる。その姿は本当に恰好良くて…道着姿の秋月先輩見たさに、柔剣道室は放課後になると人だかりが出来ていた。
それはまるで…俺と先輩を隔てる壁のように見えていた。
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