突然ですが、兄貴が出来ました!
田中さんの笑顔がなんか·····凄く色気があって、なんだか良く分からないけど、どぎまぎしてしまう。
先輩が爽やかなら、田中さんは·····なんかちょっと大人の世界を知り尽くした感じで、お子ちゃまな俺にはちょっと近寄り難い。
·····なんて思いながら食事を進めていると、秋月先輩はさすがに剣道をしているだけあって、座っている姿が姿勢正しい。
秋月家側の人はなんと言うか··· 、折り目正しくきちんとしていた。
でも、それがぎこちなくも感じさせても居て·····。
俺は食事をしながら、この生活に慣れて行けるのか不安になった。
そうこうしているうちに、正座している足が痺れ始める。トイレにも行きたくなり、俺は途中で
「すみません、ちょっと御手洗に行ってきます」
そう言って立ち上がった·····つもりだった。
が、足が痺れてもつれてしまう。
襖に向かって倒れそうになった時
「危ない!」
という声より先に、田中さんが俺の身体を抱き留めてくれた。その時、田中さんの胸に顔を埋めた形になってしまう。
鍛え上げられた身体に、ふわりと香るシトラス系の爽やかな大人のコロンの香りに覚えがあった。
誰だっけ?
俺は田中さんの胸に顔を埋めたまま、思い出していたけど分からない。
「葵様?」
ピクリとも動かない俺を心配して、田中さんが声を掛けて来た。
「あの·····この香り、誰かと同じ香りですか?」
思わず尋ねた俺に、田中さんが口を開く前に
「陽一のコロンは、昔、モデル時代に陽一に惚れ込んだ調香師が作ったオリジナルのはずだが·····」
と、秋月先輩のお父さんが首を傾げて答える。
「あ·····そうなんですね。じゃあ、俺の勘違いですね」
笑いながら田中さんから離れる。
「すみません、ありがとうございました」
俺は痺れる足を堪えてトイレに向かう。
でも·····確かにあの香りは嗅いだ事がある。
倒れた日?嫌·····、違う。
あの香りは、田中さんから嗅いだんじゃない気がする。違和感があって、必死に記憶を手繰り寄せる。
そして、ハッとした。
あの香り、蒼ちゃんだ。
時々、蒼ちゃんからあの香りを嗅いだ事がある。
普段、蒼ちゃんは香りを身に付けたりしないから、せいぜい香りがしてもシャンプーの香り位だった。
だけど、高校2年になった頃位だと思う。
時々、蒼ちゃんから大人びたコロンの香りがしていたのを思い出す。
(何で蒼ちゃん?)
首を傾げながらトイレから戻ると、何やら母さんの携帯で盛り上がっている。
俺が疑問の視線を投げると
「蒼ちゃん4歳とあ~ちゃん2歳」
って言いながら、母さんが携帯の画像を見せていた。俺は嫌な予感がして、母さんの携帯を取り上げた。画像に映し出されていたのは、まだ何も分からない俺と蒼ちゃんの女装写真。
「~~~~~~~!!」
母さんの趣味で俺と蒼ちゃんは小さな頃、髪の毛が長かった。
·····とはいえ、肩位だけど。
毎回、可愛らしい服を着せては、母さんが秘密の撮影をしていたと蒼ちゃんから聞いてはいた。
そして今、俺の手にある母さんの携帯の画像は、まさに白いフリフリのブラウスに、蒼ちゃんは水色のフワフワしたスカート。俺は薄い緑色のヒラヒラワンピースを着て写っている。
しかも、ハーフアップした髪の毛にはリボン·····(涙)
「可愛いでしょう?」
満足気な母さんに
「母さん!消去してよ、恥ずかしい!!」
俺が消去ボタンを押すと、次々に新たなる写真が現れて来る。
「·····母さん、こういう写真。何枚ある訳?」
顔を引き攣らせて聞くと
「え~?300枚は超えてるかな?」
って、笑顔で答えた。
「蒼ちゃんが嫌がるまで、毎日何着も着させて撮影会してたの~」
うふふって笑いながら母さんが話してる。
蒼ちゃん·····ごめん。今、巻き添え食らってます。
俺は心の中で、蒼ちゃんに両手を合わせて謝罪していた。
先輩が爽やかなら、田中さんは·····なんかちょっと大人の世界を知り尽くした感じで、お子ちゃまな俺にはちょっと近寄り難い。
·····なんて思いながら食事を進めていると、秋月先輩はさすがに剣道をしているだけあって、座っている姿が姿勢正しい。
秋月家側の人はなんと言うか··· 、折り目正しくきちんとしていた。
でも、それがぎこちなくも感じさせても居て·····。
俺は食事をしながら、この生活に慣れて行けるのか不安になった。
そうこうしているうちに、正座している足が痺れ始める。トイレにも行きたくなり、俺は途中で
「すみません、ちょっと御手洗に行ってきます」
そう言って立ち上がった·····つもりだった。
が、足が痺れてもつれてしまう。
襖に向かって倒れそうになった時
「危ない!」
という声より先に、田中さんが俺の身体を抱き留めてくれた。その時、田中さんの胸に顔を埋めた形になってしまう。
鍛え上げられた身体に、ふわりと香るシトラス系の爽やかな大人のコロンの香りに覚えがあった。
誰だっけ?
俺は田中さんの胸に顔を埋めたまま、思い出していたけど分からない。
「葵様?」
ピクリとも動かない俺を心配して、田中さんが声を掛けて来た。
「あの·····この香り、誰かと同じ香りですか?」
思わず尋ねた俺に、田中さんが口を開く前に
「陽一のコロンは、昔、モデル時代に陽一に惚れ込んだ調香師が作ったオリジナルのはずだが·····」
と、秋月先輩のお父さんが首を傾げて答える。
「あ·····そうなんですね。じゃあ、俺の勘違いですね」
笑いながら田中さんから離れる。
「すみません、ありがとうございました」
俺は痺れる足を堪えてトイレに向かう。
でも·····確かにあの香りは嗅いだ事がある。
倒れた日?嫌·····、違う。
あの香りは、田中さんから嗅いだんじゃない気がする。違和感があって、必死に記憶を手繰り寄せる。
そして、ハッとした。
あの香り、蒼ちゃんだ。
時々、蒼ちゃんからあの香りを嗅いだ事がある。
普段、蒼ちゃんは香りを身に付けたりしないから、せいぜい香りがしてもシャンプーの香り位だった。
だけど、高校2年になった頃位だと思う。
時々、蒼ちゃんから大人びたコロンの香りがしていたのを思い出す。
(何で蒼ちゃん?)
首を傾げながらトイレから戻ると、何やら母さんの携帯で盛り上がっている。
俺が疑問の視線を投げると
「蒼ちゃん4歳とあ~ちゃん2歳」
って言いながら、母さんが携帯の画像を見せていた。俺は嫌な予感がして、母さんの携帯を取り上げた。画像に映し出されていたのは、まだ何も分からない俺と蒼ちゃんの女装写真。
「~~~~~~~!!」
母さんの趣味で俺と蒼ちゃんは小さな頃、髪の毛が長かった。
·····とはいえ、肩位だけど。
毎回、可愛らしい服を着せては、母さんが秘密の撮影をしていたと蒼ちゃんから聞いてはいた。
そして今、俺の手にある母さんの携帯の画像は、まさに白いフリフリのブラウスに、蒼ちゃんは水色のフワフワしたスカート。俺は薄い緑色のヒラヒラワンピースを着て写っている。
しかも、ハーフアップした髪の毛にはリボン·····(涙)
「可愛いでしょう?」
満足気な母さんに
「母さん!消去してよ、恥ずかしい!!」
俺が消去ボタンを押すと、次々に新たなる写真が現れて来る。
「·····母さん、こういう写真。何枚ある訳?」
顔を引き攣らせて聞くと
「え~?300枚は超えてるかな?」
って、笑顔で答えた。
「蒼ちゃんが嫌がるまで、毎日何着も着させて撮影会してたの~」
うふふって笑いながら母さんが話してる。
蒼ちゃん·····ごめん。今、巻き添え食らってます。
俺は心の中で、蒼ちゃんに両手を合わせて謝罪していた。