ヴァンパイア夜曲
二人の会話にきょとん、として紙袋へ目をやると、そこにはランディの言った通り数々の美味しそうな“お菓子”が詰め込まれていた。
可愛らしいパッケージを見た瞬間、私は目を輝かせて、つい、声を上げる。
「わあ!これ、全部私の好きなお菓子だあ…!!シドが買ったの?」
「……あぁ。」
「え。君、その顔でこれを買ったのかい?」
「お前はいっぺん黙れ、ランディ。」
ムスッ、としているシドは、どうやら知られたくなかったらしい。
確かに、ランディの言った通り、全身黒づくめで殺し屋オーラ満載のシドがカゴいっぱいのお菓子を持ってレジへ並んだところを想像すると、つい笑いが込み上げる。
ーー似合わない。
何度イメージしても、似合わない。
私とランディが笑いを堪えているところを見て、さらに碧眼を細めたシド。
私は、頑なに視線を合わせようとしない彼へ、くすりと笑って尋ねた。
「もしかして、私に買ってくれたの?」
「!」
すると、一瞬ぴくり、と肩を震わせたシドは、視線をそらしたまま低く答える。
「…んなわけあるか。これは“俺”のだ。」
「え。」
「まぁ、どうしてもお前が食いたいと言うならやってもいいが。」