ヴァンパイア夜曲
…と、その時。我関せず、といった様子で私たちを見ていたタンリオットに、セオドルフ王が声をかけた。
「タンリオット。お前もレイシアさんたちに同行しなさい。」
「っ?!!はい?!!な、なぜ僕が…?!!」
「リスターノまでの道のりを案内する係が必要だ。あそこは今や立ち入る者がいない廃墟だからな。まともな道もないだろう。」
突然の飛び火に動揺するタンリオット。
しかし、セオドルフ王は容赦ない。
「王を継ぐ者として、何事も経験だ。もし、レイシアさんが危険に晒されたら、お前が守ってやりなさい。」
「っ、しかし、僕は剣術などはまったく……」
「普段、城の兵を稽古につけさせているだろう。これも王になるための試練だと思え。…いいな?タンリオット。」
セオドルフ王の有無を言わせぬ威圧感に、タンリオットはしぶしぶ頷くことしか出来ない。
一方、旅の同行者が増えたシドとランディは、“厄介なことに…”と言わんばかりに複雑そうな顔で顔をしかめていたのだった。