ヴァンパイア夜曲
全く同じ色形の門。
その前に立つ少年たちは不気味なほどそっくりで、先ほど私たちを見送った少年とも瓜二つであった。
『ヒトだ、ヒトだ』
『おシゴトしないと』
カタカタと揺れる少年。
全く同じ動きの彼らにごくりと、喉が鳴ったその時。ランディが低く呟いた。
「門番に尋ねられるのは一度だけ。どちらかがショウジキモノで、もう一方がウソツキ…だったよね?」
「えぇ、そうね」
私の頷きに目を細めるシド。
「どっちもぶっ飛ばして強行突破の方が早い」
まどろっこしい、と言わんばかりの彼は、拳銃片手にツカツカ歩み寄る。
しかし、それを止めたのは兄だった。
「早まるなクソガキ。正解の道も分からないんじゃ、この先無駄死にだ。ここで奴らを仕留めれば、二度と正解の道は開かない」
兄の言う通り、強制的に先に進もうとすれば何か罠が仕掛けられていてもおかしくはない。
門を開けられるのは彼らだけ。
この先に一生進めなくなる可能性だってあるのだ。
私は、険悪なムードのシドと兄に向かって声をかける。
「やっぱり、少年たちに質問をするべきなんじゃないかしら。“この先はローガスの城への道ですか”…とか?」
すると、それを聞いていたエリザが一歩前に進み出た。
「待ってレイシアさん。その問いだと、ショウジキモノもウソツキも『はい』と答える。安易な質問は、一度きりの見極めのチャンスを奪うわ」