ヴァンパイア夜曲
ようやく旅人の消息が途絶える理由が分かった。
ただ腕っ節が強いだけでは、この先には進めない。
ローガスは試しているのだ。自分を殺しにきた者がどれほどの能力を持っているのかを。
恐らく、一度きりの質問は、一人がした時点で終わり。
そして、二手に分かれることもできない。その選択をすれば、間違った道を進んだ仲間が必ず犠牲になるからだ。
しかしこの双子、どちらがショウジキモノでどちらがウソツキか全く分からない。もはや、どちらもニセモノに見える。
確率は二分の一。
しかし、うまくチャンスを活かせなければ全員ここで死ぬ。
なんとかショウジキモノを見つけ出し、答えを聞くしかないのだろうか。
(一体、どうすれば…?)
するとその時。
微かに目を細めた兄が静かに前に進み出た。驚いたシドは慌てて口を開く。
「おい!何をする気だ?まさか、無理やり答えを言わせるつもりじゃねえだろうな」
「子ども相手にするわけないだろう。…だが、ここで足止めを食らっている場合じゃないからね」
コツコツと少年に歩み寄るルヴァーノ。
左右に分かれた彼らを、兄のグレーの瞳がとらえた。そして、すっ、と、左へ進む。
ランディが目を丸くして声をかけた。
「ルヴァーノさん、ショウジキモノが分かったんですか…?」
「まさか。そんな情報は必要ない」