ヴァンパイア夜曲

ようやく旅人の消息が途絶える理由が分かった。

ただ腕っ節が強いだけでは、この先には進めない。

ローガスは試しているのだ。自分を殺しにきた者がどれほどの能力を持っているのかを。

恐らく、一度きりの質問は、一人がした時点で終わり。

そして、二手に分かれることもできない。その選択をすれば、間違った道を進んだ仲間が必ず犠牲になるからだ。


しかしこの双子、どちらがショウジキモノでどちらがウソツキか全く分からない。もはや、どちらもニセモノに見える。

確率は二分の一。

しかし、うまくチャンスを活かせなければ全員ここで死ぬ。

なんとかショウジキモノを見つけ出し、答えを聞くしかないのだろうか。


(一体、どうすれば…?)


するとその時。

微かに目を細めた兄が静かに前に進み出た。驚いたシドは慌てて口を開く。


「おい!何をする気だ?まさか、無理やり答えを言わせるつもりじゃねえだろうな」


「子ども相手にするわけないだろう。…だが、ここで足止めを食らっている場合じゃないからね」


コツコツと少年に歩み寄るルヴァーノ。

左右に分かれた彼らを、兄のグレーの瞳がとらえた。そして、すっ、と、左へ進む。

ランディが目を丸くして声をかけた。


「ルヴァーノさん、ショウジキモノが分かったんですか…?」


「まさか。そんな情報は必要ない」

< 207 / 257 >

この作品をシェア

pagetop