ヴァンパイア夜曲

一同が目を見開いて固まったその時。

すっ、と少年の前に屈んだ兄は、さらりと問いを口にする。


「ねぇ。…もし、俺が“この先は正解の道か?”と尋ねたら、君は“はい”と答えるか?」


その時。シドが全てを理解したように、はっ!とした。

遅れて、私も兄の問いの意味に気がつく。


もし、後ろに続く道が正解の場合。

左に立つ少年がショウジキモノなら、迷いなく『はい』と答えるだろう。

しかし、ウソツキだった場合。正解の道に行かせないために『いいえ』と答えたいところ、“君は“はい”と答えるか?”という兄の質問に対しては嘘をつき、逆に『はい』と答える。


一方、後ろに続く道が不正解の場合。

ショウジキモノなら迷いなく『いいえ』と答えるだろう。

そしてウソツキは、『はい』と答えて旅人を騙そうとするが、“君は“はい”と答えるか?”という兄の質問に対しても嘘をつき、逆に『いいえ』と答える。


つまり。結果的に、正解の道ならショウジキモノもウソツキも『はい』と答え、不正解の道ならショウジキモノもウソツキも……


『イイエ』

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