ヴァンパイア夜曲
エピローグ
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ずっと私は、修道院の閉じた世界で生きてきた。
一夜にして大好きだった両親がいなくなり、唯一の肉親である兄とも生き別れた。
そして十年の時が経ち、シスターとして生きる道を選びヴァンパイアの血を隠していた、ある夜。私の前に現れたのは、雪に埋もれるように倒れる一匹狼。
いわばその男は、遠慮も気遣いもない不良。
バチ当たれ、と思ったことが何度もあった。
でも、彼はずっと私の側にいてくれた。
私の心の壁をぶち壊して、いつのまにか心の奥に住み着いた。
私が初めて抱いた恋情を、受け止めてくれた。
こんな私を好きだと言ってくれた。
『倒れた貴方を私が見つけたのも、きっと神のお導きです!』
これは、必然の出会いだったのだ。
『黙ってさっさと俺に溺れろ』
あの時の私は想像していなかっただろう。結局、彼の言った通りの未来になるなんて。
これは、ある雪の夜に出会った
ヴァンパイアに血を与えた青年と死神に心を奪われたシスターの
夜曲のような甘い恋の物語である。
*完*