付き合ってないんだよ…ね?環くん。【短】

それ、どう見たって恋人のポジション……てか、恋人でも人前でそこまでいちゃつかないと思うんだけど。


え?え?


おかしいのは僕なの?


え?え?えぇ!?



「いいじゃん環くん!!もうこの際山田先輩の言う通り付き合っちゃおうよ!!いや、もうなんなら結婚……」



田中さんがそこまで言いかけると、スマホを持たない方の環くんの手がブシュッ!と田中さんの頬を絞った。


まるで、ムンクの叫びの絵のような顔になる田中さん。



「何がいいんだ。全然よくねぇ。お前と付き合うとか、マジ無理」



た、環くん……。


そんな、心底受け付けないみたいな顔で言ったら、さすがの田中さんだって傷つ


「しょんなちゅれない環きゅんもしゅき……♡(そんなつれない環くんも好き)」



あ。大丈夫だったみたい。



なぜかわからないけどうっとりしている田中さんにジト目を向け、さらに額に華麗なチョップを打ち込むと、環くんはスクッと立ち上がる。


その拍子に「あうっ」と声を漏らしながら、美少女田中さんは環くんの膝から転がり落ちた。



「あ!環くん!教室に戻るの!?」


「ん」


「あ、待って僕も……」



と、立ち上がろうとした時だ。
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