付き合ってないんだよ…ね?環くん。【短】

その一生懸命な姿に、なんだか僕は胸が打たれてしまった。


僕は、恋なんて一度もしたことがないから、彼女をちょっとばかり羨ましく思ってしまったのかもしれない。


こんなにも一生懸命に一人の人を好きになるって、一体どんな感覚なのだろう?


いつか、僕にもこんなふうに恋をする日が来るのだろうか?



なんて、思ったら、いつの間にか彼女を応援したい気持ちでいっぱいになっていたんだ。



「田中さん。環くんとのこと、応援してるから頑張ってね」



僕がそう言うと、田中さんは。



「ありがとうございますっ!嬉しい!」



そう言って、花が咲くような満面の笑みを見せた。











さて、田中さんを応援すると決めたからには、気になるのが環くんの本心だ。


僕は次の日から3日間、田中さんといる時の環くんをよくよく観察することにした。





────4月23日(火)晴れ。


今朝、環くんが田中さんと手を繋いで登校してきた。


驚く僕に。


「歩くのがおせーから、引っ張ってきただけだろ」


と、心底迷惑そうな顔を向けてくる。


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