付き合ってないんだよ…ね?環くん。【短】

むしろ、これで環くんが田中さんに全く興味がないというのなら、それはそれでちょっと問題じゃないか?


その気がないなら、相手に気を持たせるなんて酷な話だろ?


まさか……まさかとは思うけど、田中さんは普通にしていれば最上級の美少女だし、そりゃ男の心理としては隣りに置きたいのが当然なわけで……。


つまり……キープ……?


そそそそんなの、悪い男のすることじゃないか!


環くんがそんなことをするなんて信じられないし信じたくもないけど、もしそうなら、


これは環くんの親友(自称)として、ビシッと言ってやるべきなんじゃないだろうか……!




「……何睨んでんだよ。山田」



体育の授業からの帰り道。


僕の視線に気づいた環くんが鬱陶しそうに眉根を寄せる。



「なんか言いたいことあるなら言えよ。さっき俺の蹴ったボールが頭にあたったことか?」


「……違うよ」



確かにあれはめちゃくちゃ痛かったし、軽くたんこぶになっているけど、違うよ環くん。


僕が言いたいのは、田中さんにその気がないのなら、思わせぶりな態度はとるな…ということであって……。
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