「極彩色のモノクローム」短編集
その言葉を
私が紡げば
君の身体の緊張が
解けるのを知っている。
ほら、
強く強く
握りしめていた手が
力を抜いて
落ちた。
自由になった腕を回して、
その頭を抱きしめれば
君は深く息を吐き出して
こう言うだろう。
「「ごめん」」
重なった声に、
君は驚いたように体を起こした。
笑う私に
唇を尖らせて
むくれてみせる。
「謝らなくていいから。」
言って、
左頬に唇を寄せる。
次の瞬間、
君の唇が
私のそれを塞いで。
合間に囁かれた
「ありがとう。」
に。
私は
また
笑みを漏らすのだ。