「極彩色のモノクローム」短編集

「今日なんだ。」


先に口を開いたのは、

君の方だった。


「30年も前の話なのにな。」


苦笑を零す。


火事に、

巻き込まれた日?


手に持ったライターが、

震えている。


「そう。」


私はそれだけ言って、
ライターを取り上げた。


床に撒き散ったアルコールに引火すると、危ないから。


今の君は、

それをやりかねないくらい

たぶん

危ない。


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