「極彩色のモノクローム」短編集


「名前…。」


君はそう言った。


「名前呼べよ。」


君は、
名前で呼ばれるのが
どうして好きなんだろう。


「淳弥。」


口にすれば

君の手が

痛いくらい

私の腕を握りしめた。


「もっと。」


囁くように

欲する。


「淳弥。」


手を回して、
そっとその髪に触れた。


「淳弥…愛してる。」


言葉にするのは照れ臭いし、

こんな安っぽい言葉じゃ伝わらないって思うけど。



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