私の専属王子は金髪君
なんて思いながら
髪をいじっていると
やっと菜月が私を解放してくれた。
「ってゆうか、
湿気も嫌だけど、
雨降ってるってだけで
なんか気分下がるよね~。」
と、思えば今度は
窓を眺めて頬杖をついた。
そんな菜月に
「そうだね~」と適当に
返事をしながら
私も外を眺めた。
前にいる菜月は
唇を前に尖らせて膨れているけど、
私はこの時期が好きになった。
今年から。
だって―――
「凛、帰るか。」
「うん!」
玲央と2人、1つの傘で
家まで帰ることができるから。
傘を持つ玲央の右腕に
自分の腕を絡ませて歩く。
他愛もない会話をしながら
水たまりを避けながら帰るこの時間が
すごく大事なものになっていた。