私の専属王子は金髪君
目を反らしたいのに
何故か反らせない私は
2人の会話に耳を傾けていた。
近くはない距離で聞こえてくるのは
会話の断片だけ。
「玲央くん…」「大丈夫?」「凛…が」
「寂しい…」「私も会いたかった。」
など、そんな言葉だった。
会話の全てを聞くことは出来なかったけど、
私の目に写ったものは
涙を流す女の子を
苦しそうな顔で眺めて
頭を撫でている玲央だった。
それを見るのが苦しくて
やっとの思い出その場を離れた。
無我夢中で走り続けて
家に帰ってきてからは
どうしたのか覚えていない。
何もやる気が起きず、
制服が皺になってしまうのも気にせず
枕に顔を沈めて、ただ涙した。