私の専属王子は金髪君
凛は確かに
俺の顔を見てそう言ったんだ。
その場にいた誰もが
予想をしなかった言葉に
空気が凍りついた。
「…凛?本当に分からないのか?」
遠慮がちに聞いたおじさんの言葉に
コクリと小さく首を縦に振った。
誰か、何かの冗談だって、
俺をからかってるだけだって
そう言って欲しかったけど
担当の先生は
「記憶喪失…ですね。」
と、ゆっくりそう告げた。
その後、分かった事は、
俺と沙希や、その他数人の
クラスメイトの事を覚えていない事。
これからの生活には支障はない事。
何かの拍子で記憶が戻る可能性もある事。
でも、無理に思い出そうとすれば
脳に負担がかかってしまう事。だった。