私の専属王子は金髪君
目的地に着くまでに
玲央が隣で何かずっと
喋っていたけど
そんなのは全然頭に入ってこなかった。


玲央の声よりも
自分の心臓の音の方が
大きく聞こえてしまったから。


時々ちらっと玲央の顔を
盗み見しようとすると、
その度に目がばちっと合ってしまい
すぐに反らす。


何度もそんな事を繰り返して
私は自分で自分の首を絞めていた。
まるで玲央は
私が玲央を見るタイミングを
知っているかのように
私に視線を向けるから
余計ドキッとしてしまったんだ。




「凛。着いたよ。」


ずっと俯きながら歩いてきたから
ここがどこかなんて
考えもしていなかった私は
目の前に広がる光景を見て
目を見開いた。


「うそ…。」
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