私の専属王子は金髪君
”転ぶ!”

そう思って手を前に
出したんだけど
体が地面に当たった感じは全くしなくて
代わりに甘いムスクの香りに包まれた。


「大丈夫?」


頭上から落ち着く
低音の声が聞こえた。


「すみません急いでて…。」


その人から離れて
顔を見上げると
私を支えてくれたのは


「夏目…玲央?」


太陽に照らされて
綺麗に金色に輝いた髪に
一瞬で目を奪われた。


「え、俺の事知ってるの?
嬉しいな~~。」


すごい緩い話し方なのに
何処か優しくて
笑った顔は無邪気で
前から知っているような
不思議な感覚に襲われた。


「知ってるも何も
夏目君、有名人だもん。」


なんでだろう。
苦手だと思ってたのに
普通に会話をしていた。
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