私の専属王子は金髪君
リップ音と共に頬に感じた
温かくて柔らかい感触。


咄嗟にその場所を手で抑えると


「あれ、凛ちゃん
顔真っ赤だけどどうしたの?」


余裕そうな笑みを浮かべた玲央が
楽しそうにそう言った。


…やり返された。


「ふ、不意打ちはずるいって!」


今さっきどこかで聞いた様なセリフを
口にしてしまった。


「何の話かな~。
じゃ、俺は帰るな。
まだ寒いからあったかい恰好して
寝るんだぞ。」


お父さんみたいな事を言った玲央が
踵を返して去ろうとすると


―――ガチャ


私の後ろで玄関の扉が
開く音がした。


「あ、お母さん。ただいま。」


買い物にでも行くのだろうか?
財布を手にしたお母さんが出てきた。
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