櫻春風花ーかざはなー

「……わ…私は、


私は、ずっと、ここにいたいです。」







「「「「「「!!」」」」」」







これには例外なくその場にいた全員が驚いた。






それもそのはず、


ここに来て一度だに声すらも発したことのない瑠璃が、はっきりとした口調で、それもしっかりと言葉を紡いだのだから。





驚愕の答えに、その場にいた全員が硬直している。



そんな静寂を破ったのは、土方だった。




「瑠璃。言っておくが。ここはお前のような女がいるような場所じゃあない。


俺のいうこと、分かるな?」



「はい」




いつ何時、何が起こるかわからない。
壬生浪士組の屯所は、人家ではあるが、危険なのである。




「……………」



無言で瑠璃をまっすぐ見つめる近藤。



―局長として、また父親として、瑠璃にとやかくいわない。―


それが彼の答えである。



< 24 / 61 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop