櫻春風花ーかざはなー
「緊張しますか?」
沖田は自分の後ろを歩く瑠璃に尋ねた。
「・・・・」
が、案の定瑠璃にはそんな沖田の声は聞こえていない様子。
かなり緊張しているようだ。
「ふふふ、瑠璃?」
「・・へっ!?」
突然、ずいっ、と自分の目線の高さに合わせてしゃがんだ沖田に驚き、瑠璃は正に、鳩が豆鉄砲を食ったように目を丸くしている。
「お、沖田先生・・・」
「大丈夫ですよ!
そんなに肩に力入れてると、肩凝っちゃいますよっ!」
沖田は、ぽんぽんっと瑠璃の両肩を叩くと、瑠璃は頷いたが、その手は未だ震えている。
未だ緊張の取れない瑠璃を見兼ねたのか、沖田は眉を下げて、そっと瑠璃の手を包んだ。
「大丈夫ですよ。
瑠璃は一生懸命頑張ってきたんですから。」
「…はい」
か細く、不安そうな声、
自分で建てた誓いでも、やはりいざその時が来ると、恐怖感に襲われるのだろうか。
「瑠璃の頑張りは、一番近くで教えてくれた、土方さんが一番よく知っているはずです。瑠璃、自信を持って行きなさい。」
ニッコリと笑っている沖田だが、その瞳は真剣そのもので、瑠璃はホッと安心感を覚えた。
「はいっ!」
「私も一緒に行きますから、ね?」
局長室を目の前にし、トンッと軽く背中を押し、中に入るよう促した。