櫻春風花ーかざはなー
「あの!近藤さん、土方さん!」




長く続いた沈黙を破ったのは、少し幼さを残した、端正な容姿のこの青年。
彼は、新選組随一の剣豪としていとわれる、若き隊士、沖田総司である。





「なんだ、総司?」




「こんなに空も晴れてることですし、久しぶりに散歩でもしませんか?」



「おお、そういえばこうして三人でいるのも久しぶりだな。どうだ、歳?」



「ったく、なにを言い出すかと思ったら…そんなことかよ。」






悪態をはきながらも、吸っていたキセルを懐にしまい、口角をあげて笑う彼。





どうやら行く気はあるようだ。



「まだ寒いですね。」



いくら晴れているとはいえ、まだ着物一枚では寒さはしのげない。
そんな日和。



「江戸と違って京は盆地だからなぁ、長く雪が残るのかもしれんな。ほら、あそこ。」




近藤が指差す先の家の屋根にはまだ少し雪が残っている。

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