櫻春風花ーかざはなー
瑠璃は稽古を始めた当初、
全くの初心者で、誰がどう見ても三月で剣術を習得出来るなど、思える状態ではなかった。
しかし、華奢な体に不釣り合いな大きく太い木刀を握り、土方との稽古に励むその姿は真剣で、
誰もが目を見張る程の目覚ましい成長を見せた。
そんな血の滲むような努力の裏に何があるのか、
瑠璃の過去に一体何があったのか、
永倉には、知る由はなかった。
(俺も頑張らなきゃな。)
悲痛そうに歪めていた顔をぱちぱちとたたき、気合いをいれると、永倉は道場に足を踏み入れた。
「よーし、朝稽古始めっぞー!」