櫻春風花ーかざはなー
「まず、瑠璃。
この三月、君の努力を見せてもらったよ。ご苦労だった!」
「ありがとうございます。」
瑠璃は、近藤の労いの言葉に深々と礼をし、これに答えた。
「・・さてと、早速本題に入らせてもらおうか。
ちょうど三月前に君がたてた約束、覚えているね?」
先程の笑顔とは一変し、近藤の表情はキリっと引き締まった。
「はい。」
忘れもしない。
何せ、自らの命を懸けた約束なのだ。
『この日の為に生きてきた』と言っても過言ではなかろう。
瑠璃はその大きな蒼眼でまっすぐ近藤を見つめ、答えを待った。
「瑠璃、君の努力は本当に見事であった。
これからはその腕を活かして壬生浪士組、一隊士として存分に励みたまえ。」
「えっ!?
ほ、本当ですかっ!?」
近藤の答えに驚きを隠せない瑠璃は、思わず大きな声を出した。
そんな彼女を見て、近藤は満足そうな笑みを浮かべながら頷いていて、後ろの沖田もニコニコと穏やかに微笑んでいる。
そして、瑠璃が土方の方に視線をやると、土方も瑠璃の視線に気付き、さっと視線をはずすと、フンと浅く笑った。
しかし、それはいつもの皮肉の笑みではなく、心底嬉しそうだ。
師である土方に認めてもらえたとわかると、瑠璃は安堵の涙を浮かべた。