櫻春風花ーかざはなー
「出世払いだ!
お前が腕の立つ武士になって稼ぐようになったら、利子でも付けてきっちり返させてやる!
そのかわり!それまで死ぬ気で働けよ!いいな?!」
この言葉で、土方が本当に伝えたかったこと。
それは、出世払いなんかではなくて、
『死ぬな。』
ただそれだけだった。
お金なんか必要ない。ただ、生きていてくれさえすれば――。
そんな思いが込められていたのである。
「・・・はいっ」
「分かったらさっさと行けっ、俺達ゃ暇じゃねーんだよ!お前のせいで溜まってる仕事が死ぬほどのこってんだよ!早く帰って手伝え!」
すくっと立ち上がり、部屋を出ていく瑠璃の後ろ姿を見送り、沖田も立ち上がった。
「素直じゃないんですから、土方さんはー!」
ふふふっと穏やかに笑うと、瑠璃の後を追って出掛けていった。