櫻春風花ーかざはなー




瑠璃たちが出ていき、静まり返っていた局長室では、



「いやしかし、あの歳がなぁ?」

「な、なんだよ勝ちゃん!」


「すっかり可愛い弟子になったな。」


「あ!?」




近藤は正直、土方が真剣に人にものを教えるのを久々に見た。


ましてや、自ら進んで剣術指導をするなど、考えられなかったのだ。



「本当によかったのか?」

「何がだよ。」

「それは勝ちゃんも同じだろ。」


剣を持たせるということは、いずれは人を斬らなければならない。


戦場に立たなければならないということ。




「この選択は、きっとあいつの人生を狂わしちまうんだろうな。」


表情を歪めて話す土方を、近藤はただ黙って見つめる。



< 49 / 61 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop