櫻春風花ーかざはなー


「正直、不安なんだ。
これで本当によかったのかって。

あいつの、女としての生活を奪っちまって、本当によかったのかって。」




“不安”
普段土方が口にしないような単語だ。
つまり、それほど瑠璃の入隊には苦悩したということ。



剣客として生きるということはすなわち、もう普通の女性として生きることは出来ない。


それを、近藤や土方は分かっていた。




「そうだな。」



静かに近藤は頷いた。


「けど、俺はあいつを信じるよ。
瑠璃なら、あいつなら俺達にそんな後悔をさせない。絶対に。」




「あぁ。」





ゆっくり、そしてはっきりと頷いてみせた近藤。


< 50 / 61 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop