櫻春風花ーかざはなー
しかし、いつもと違うのは道場だけではなかった。
「土方さーんって……あれ?」
沖田は、今日も相変わらず土方を起こしに、
いや、寝起きをからかいに副長室を訪れていた。
「…なんだ。」
「うわ、私まだ寝ぼけてますかね!土方さんが寝てない?あれっ」
「俺が起きてちゃいけねぇのかよ!」
何度もごしごしと目を擦り、くっきりとした二重の瞳を見開いて、さも珍しいものを見るように土方を見つめる
それも無理ないことだ。
なにせ、屯所で一番低血圧で、寝起きが悪いで有名な副長。
そんな彼が自ら布団から出て来ることは今までなかったのだ。
「わー……」
「んだよ。」
しばらく考えるように顎を抱えながら、真剣な表情でうんっとうなずくと、
「……今日は嵐ですよ。絶対に!」
はっきりと告げた沖田であった。
「お前な、あとで覚えとけよ…」