櫻春風花ーかざはなー



「家に帰らないと、ご両親が心配するんじゃないか?」




優しく尋ねてみるものの、ふるふると頭を横に振り、黙ったまま、じっと見つめてくる。
近藤は『うーん』とうなりながら首をひねり、考えを巡らす。
すると、今まで黙っていた土方が、少女に尋ねた





「お前、親いねぇのか?」
「ちょっと、土方さん!」


慌てて制止をかけた総司だが、少し遅かった。



総司が止めようとしたのも無理ないだろう。


土方は、遠回しに『捨て子か?』と聞いているようなものなで、まだ見た感じやっと十歳になるかならないようなくらいの歳の少女には、あまりにも酷な質問だったのだから。








案の定、質問に答えることはなく、俯いてしまった少女。





「(まさか、本当に捨て子…)」




気の毒に思ったのか、近藤たちはとりあえず屯所へ招き入れた。





「このまま外にいる訳にも行かないだろう。入りなさい。」
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