真宮ゆずはあなどれない。
油断は禁物。
ゆずside▶
瀬河柾樹。あたしの彼氏。……たぶん。
「あんたもさぁ、もうちょっと落ち着きなさいよ」
親友の美佳に長いため息をつかれ、あたしはウッと言葉に詰まった。
そりゃ、自分でも少しくらいはやりすぎだと思っているけれど。
でもあれくらい強引にやらないと、柾樹はあたしに気づいてすらくれないのだ。
それに柾樹は覚えていないみたいだけど、あたしは一応ちゃんと告白をして彼女になるっていう権利を……もらっている、はずで。
「瀬河が鈍感ってよりは、あんたがいつでもどこでもはっちゃけるから大事な時との区別がつかないんだって」
「でもさぁ〜〜」
「恋愛は押してばっかじゃダメなのよ。たまには引いてみなさい!」
そりゃあたしは押せ押せだよ?
引くなんて言葉、知らないし。
引いたら、柾樹なんてどんどん遠くへ行っちゃうし。