真宮ゆずはあなどれない。
それにむしろ、今のまま曖昧な方が良いんじゃないかと思ったり。
だってもしこの気持ちを伝えて本当にちゃんと伝わってしまったとして、その答えがノーだったら……あたしはもう柾樹の隣にはいられなくなってしまう。
今だってきっと、恋人だとは認識されていないだろう。
友だちなのかすら不安になってくる。
あたしたちはなんなの? という疑問はたぶん柾樹よりもずっとあたしの方が抱えていたし、そのぶん不安も大きかった。
……不満は、柾樹の方が大きかったかもしれないけど。
「ねえ」
「はがっ……!?」
「なに考えてんの」
とうとつに頬をつままれて、あたしは間抜けな声を出した。
長い前髪の下から覗く綺麗な瞳がまっすぐにこちらを向いていて、途端に心臓が早鳴り出す。
……ほら、みんな、知らないだけだよ。
この前髪の下、とにもかくにも未知の領域なんだから。