真宮ゆずはあなどれない。
傍から見たらカツアゲにしかみえないこの図を、そんなにしれっと流すなんて、揃いも揃ってちょっと薄情じゃないか?
バレー部エースで身長が165cmの真宮。
対して痩せ型で159cmしかない僕。
こんな体勢になってしまったら、もはやこちらに勝ち目はない。
いや――日々、彼女にこうしてなにかと良いように使われている身としては、はなから拒否権なんてないのかもしれないけれど。
きっと今の“コレ”も……。
「柾樹! ノート見せて!!」
ほーら、きた。
彼女お得意の、
「宿題あるの忘れてた!!」
宿題丸写しパターン。
『柾樹! ○○買ってきて!!』パターンの次に多く、だいたい週に二回くらいのペースでやってくる。
それもほとんどが数学だ。前に数学の成績は5段階中2だと言っていたから、たぶん単純に苦手なんだろう。
完全にわざと忘れてきてるだろ、とツッコまずにはいられない。