真宮ゆずはあなどれない。
「だからってわけじゃないけど、彼氏だなんだってのは意味がわからなかったし……まぁ今もわかんないけど。それなりに、考えてみようって気にはなったんだよね」
なかなか話が理解出来なくなってきて、あたしは首をひねりながら聞き逃さないようにじっと耳を傾ける。
「俺はそんなに言葉選びが上手くないからハッキリ言っちゃうし、彼氏になったら今までみたいにテキトーにはしないで数学もちゃんと分かるまで教えるし、ただで写させるとかそういうのなくなるよ」
「て、テキトー……」
だったんですね、今まで……。
すでにグサッとくる一言を泣く泣く大切に心にしまいつつ、あたしはとりあえずコクコクと顎を引いてみせる。
大っ嫌いな数学でも、柾樹に教えてもらえるなら万々歳だ。